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清水エスパルスのことなどをつらつらと。

レジェンドと共に(J1から)去りぬ(1)

エスパルスの2015シーズンが終わりました。残念ながら来季からは戦いの場をJ2に移すことになります。

今回の降格、原因を特定の1つに絞るのは非常に難しいと思います。個人的には理由として2つあると思っています。簡単に言うと「レジェンド以前」と「レジェンド以降」です。マスコミの記事では前者の意見が多く、サポーターさんのブログは後者の意見も多く見られる状況です。

凋落の土壌はできていた

2010年の大量離脱を経て始まったゴトビ監督の3年半。彼は極めてマイクロマネジメントなやり方で結果を出してきました。クラブライセンス制度やリーマンショックの煽りを受け、とにかく支出を抑制する方向にチームが舵を切る状況の中、経験や技術に乏しい若い選手達を自らの規律通りに動かすことで、3年連続でJ1の中位に入ることができたのはゴトビさんの功績です。

しかしこのやり方の問題点として選手の自主性や創造性が奪われ成長する機会を失うという点があります。それは選手の問題だという意見もありますが、規律に反したり監督と意見が合わない選手は厳しく叱責されメンバーからも外されるというやり方が行われていましたので、試合に出場したいと思う選手側の防衛本能として、監督の言う通り怒られないようなプレーのみに終始するという行動に出たことに対して一定の理解はできます。

結果としてゴトビさんの3年半はチームとしてレベルアップできたとは言い難い状況で、年間を通じて安定した戦いができるチームへと成長できませんでした。実力も経験もある主力選手たちとゴトビさんとの対立が絶えず、退団者が続出しました。ゴトビさんは任期中「若い選手たちが多く経験が足りなかった」といった趣旨の発言をよくしていましたが、そういった状況を招いたのは彼自身でもあったのです。このことが今のチームに影を落としているのは事実であり、ゴトビさんが今回の降格に対して全く責任が無いと言い切るのはやはり難しいと思います。

とはいえフロントが常に現状を把握し、適切な対処を取っていれば大怪我は避けられたのかもしれません。しかし結果的には様々な問題を解決できないまま引きずってしまいました。個人的には2011年オフの時点で一度なんらかの対処を取るべきだったと思います。木山コーチが不自然な形で退団し、小野や岩下といったチームの主力が契約更新を渋るなど明らかに危険な兆候が出ていた訳ですから。ゴトビさんに賭けるのであれば、選手へのケアをもっとすべきでしたし、チームの核となる選手が移籍に追い込まれる事態になった時はゴトビさんを切るという選択肢も持つべきでした。

結局、指揮系統の混乱は選手が集中してプレーできず、選手に言い訳を与える環境を作ってしまいましたし、本来中心となるべき選手たちの退団を許しながら適切な補強を行わなかったことは、チーム力の地盤沈下を招くばかりか監督にも結果を出せない言い訳を与えることになってしまったのです。

「金がなければ知恵を使え」とよく言いますが、厳しい経済状況があったにせよ、チーム崩壊を招いた原強化部長や当時の最高責任者である竹内前社長の責任は厳しく問われるべきと思います。

ゴトビさんが去った後に残ったのは、自分の頭で考えたプレーができず、プロ選手としての基本技術や体力さえ怪しい選手たちでした。そんな状況でのレジェンド登板となるわけです。

 

(2)に続きます。

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